「ソーロー草」を探すやんばる路

灯々庵

2018年11月02日 20:47

「ソーロー草」を探すやんばる路


かっては、旧盆の時、グソー(あの世)からご先祖をお迎えする儀礼としてソーロー草という植物を玄関先に用意したそうだ。

そのことを知ったのが、今年の旧盆だった。
(沖縄の文化に携わる活動をしているNPOながら、知らなかった事を恥じている)

某大手スーパーで、プラステック制が販売されているのが目に止まり、文化の破壊行為と商業ラインに乗せられる「ソーロー草危機」を思い、興味が沸いてきた。
過去のブログ(旧盆歳時記)
http://bit.ly/2BRDy6r

その興味を昇華するために、知人の植物学者が勤める名護の大学で合流し、やんばる区域を探すことに……。
立て続けに襲来した台風は「草木を痛め付けただろう!」との想定で、当初の予定日より遅い探訪である。秋の足音が聞こえるいい季節に、知的好奇心は増すばかり。


秋を感じさせる草原



学者らしく、植物についての専門的な知識を教授しながらの探索である。
「ソーロー草が根粒菌(こんきゅうきん)を持つ植物であるから、チガヤ草原に生えている!」との仮説をもとに、車はひた走る

探せ!チガヤ草原


発見!チガヤ草原



発見!ソーロー草


ここで、大学教授の
野外授業が行われる(笑)


根粒菌はマメ科植物の根に根粒を形成する。
その根粒で大気中の窒素をニトロゲナーゼによって還元して、アンモニア態窒素に変換して宿主へと供給する。


専門的になってきた‥‥


いわゆる、共生的窒素固定を行う土壌微生物が作用する。
根粒内には宿主から光合成産物が供給されることにより、共生関係が成立している。



チガヤ→光合成産物を供給
ソーロー草→チガヤに窒素供給



お~、背丈が高い。これもチガヤだって!
かっては茅葺きの材料になっていたそうだ


よく見かけるチガヤは花が咲いている

なんで花が咲いたり、咲かずに背丈が伸びたりするのでしょうか?
幼稚な質問が多いワタシ。
そんな質問にも、素人向きに分かりやすく
丁寧に説明するおごりのない教授の姿があった。





探索の起点になった旧盆のソーロー草
旧盆には、ソーロー(精霊)を迎えるために玄関先に用意する。


旧盆時に販売されていた「プラスチック制ソーロー草」に端を発し、本物のソーロー草を探すにことになった今回のやんばる探索。


その案内役を引き受けた仲田植物学者に深く感謝する。
植物の特性を知るための専門用語が多くて、その多くを忘れたが(笑)、チガヤ草原を探せばそこにソーロー草が自生していることは忘れていない。

他にわかったこと。
・お盆用のお供えモノに限らず、薬草としての効能があることを知った。
・韓国では、天然のバイヤグラとして重宝しているそうだ。



秋の気配を感じながら、ソーロー草を探すやんばる路は爽やかな気分になれた。
また、島の文化を語り、知的好奇心を満たしてくれる仲間がいることを嬉しく思う。

探せ!チガヤ草原

ソーロー草の特性と自生地が分かったので、来年のお盆前には、再度訪ねてみたい。

……………………
・NPO法人あきみよ 
理事長:棚原洋子
・日本フードコーディネーター協会会員
・沖縄県調理師協会会員
・日本食育インストラクター
・わ楽「花水木」主宰
・法務省委嘱・人権擁護委員
(人権問題のご相談を受付します=無料)

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